【活動部門】田名部 和裕 氏 

受賞後、コメントを求められる田名部氏
  • 【活動部門】田名部 和裕 氏

野球文化學會学会賞選考委員会委員長 吉田 勝光氏による推薦文

 標記について、下記により、田名部 和裕(たなべ かずひろ)氏を推薦します。

                   記

1 経歴

氏は1946年に兵庫県に生まれ、神戸市立葺合高校、関西大を経て、1968年に日本高等学校野球連盟事務局に入職されました。1993年に第6代日本高等学校野球連盟事務局長となり、2005年には、日本高等学校野球連盟参事となりました。2010年に日本高等学校野球連盟理事、2021年5月に任期満了で退任しました。

2 推薦理由

 氏は、大学卒業後の1968年に日本高等学校野球連盟事務局に入局以後、半世紀以上にわたって高校野球を支え、日本の高校野球の発展に大きく貢献されてきました。氏は、佐伯達夫氏から奥島孝康氏まで4人の会長のもとで日本高等学校野球連盟の事務局員・事務局長として務め、不祥事件の処分に係る連帯責任の緩和、外国人学校・連合チームの大会参加、女子マネージャーのベンチ入り容認、選抜大会の21世紀枠の導入、大会期間中の休養日の創設など、様々な高校野球改革を実務的立場において推進されてきました。

 なかでも、2013年に元プロ野球選手の学生野球資格回復研修制度の制定では、従来、プロ野球引退後の2年間経過、かつ教員免許資格保持者とされていた条件を、プロ・アマ双方が実施する研修の受講にまで大幅に緩和し、多くの元プロ野球選手が高校野球の指導者となる道を大きく広げることに尽力されました。

事務局等在職中に、阪神・淡路大震災(1994年)、高校野球特待生問題(2007年)、東日本大震災(2011年)、新型コロナウイルスによる大会中止(2020年)など、日本社会や高校野球を揺るがす大きな苦難に直面した際には、氏を実務的リーダー役として事務局の人々とともに尽力され、高校野球はこれらの危機を乗り越えて、今日の発展を築いてきました。

 また、田名部氏は、日本学生野球協会が設置した日本学生野球憲章検討委員会委員(2008年)、「運動器の健康・日本協会」事務局長、日本高野連「投手の障害予防に関する有識者会議」委員(2019年)を歴任し、学生野球選手の権利保障や障害予防の活動にも尽力されてきました。

2018年には、『公益財団法人日本高等学校野球連盟70年史』が発刊されましたが、その編纂事業においても中心的な役割を果たし、高校野球の歴史資料の収集や、高校野球連盟の歴史の保存についても尽力されました。

 こうした田名部氏の長年にわたる活動は、日本の野球文化の発展に大きく貢献したことは疑いようのないものであります。よって、2022年度の野球文化學會学会賞(活動部門)に推薦いたします。

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