早慶戦全記録
- 早慶戦全記録-伝統2大学の熱すぎる戦い
- 著者:堀 哲
- 出版:啓文社書房
野球文化學會顧問・諸岡 達一氏より
堤哲(つつみ・さとし)さんは、日本の「野球ジャーナリストの先駆け」橋戸頑鉄(はしど・がんてつ)と弓館小鰐(ゆだて・しょうがく)を詳細に研究している。
早稲田大学野球部創設時の三塁手頑鉄、マネジャー弓館。頑鉄は日本運動協会(日本初のプロ野球チーム)を設立し、弓館は萬朝報記者時代に早慶戦記事を書きまくり人気をはくした。
以降、二人は東京日日新聞社(毎日新聞の前身)に入社して「安打」「生還」など野球語を新規に使い始めた。頑鉄は弓館の知恵から都市対抗野球を考案し、弓館は運動部長も務めた。二人の野球先覚記者はともに野球著書多数。二人は堤哲さんの大先輩記者であり、堤さんの仔細な二人の人物像探求は「野球学」そのものである。
日本プロ野球の元祖「大毎野球団」の研究でも堤哲さんは抜きん出て深奥で、しかも知られざる真実を探りだしている。東京六大学野球のスター名選手を集め(大阪毎日新聞社社員として)た大毎球団(メンバー約30人)は国内敵ナシだった。
アメリカ遠征で最新野球術を各地で修得、日本に持ち帰り紙面で報道し最新野球知識を普及させたことを、堤さんはしつこいほど丹念に追及している。
堤さんのこれら野球人物探索および真実を追う姿勢は至上である。みずからは現役記者時代「都市対抗野球」「全国高校野球」「選抜高校野球」なども取材・記事を書いている。