野球文化學會第7回研究大会における会長あいさつ

鈴村会長 挨拶

野球文化學會第7回研究大会における会長あいさつ

本日は、ご多用のところ、野球文化學會の第7回研究大会にお集まりいただきまことにありがとうございます。今大会の開催にあたり、学会を代表して一言ごあいさついたします。

幾多の困難を乗り越え、新たな一歩を踏み出した野球文化學會の象徴として2017年12月9日に始まった研究大会も、今回で7回目となります。この間、多くの方々の協力を得て、今や研究大会は学会にとって欠かすことのできない催事となっただけでなく、その時々の野球を巡る重要な課題や問題を議論するとともに、野球文化の一層の発展に寄与すべく、野球に関する様々な事柄を取り上げる、意欲的であり先駆的な試みを行っております。

さて、今年は1924(大正13)年8月1日に甲子園大球場が開場してから100年の節目の年となります。今年は様々な形で「甲子園100年」を記念する企画が行われます。今回の研究大会は、そのような企画の嚆矢をなすべく、第2部のシンポジウムを「甲子園100年と高校野球」と題して行います。基調講演を行う田名部和裕様、一般報告を行う中村順司様、向井格郎様、安藤嘉浩様には、公私ともにご多用にもかかわらず、日本高等学校野球連盟、高校野球界、阪神甲子園球場、そして野球報道という4つの視点から、それぞれのご専門とご高見を踏まえたお話を頂戴いたします。学会を代表し、格別のご配慮をたまわることにあつく御礼申し上げます。

学会の創立者で初代代表幹事でもある諸岡達一顧問は、学会の理念を「ベースボーロジー宣言」にまとめたことは、私が折に触れて申し上げている通りです。「ベースボーロジー宣言」では、「野球を人類不朽の文化とし、学問としての野球を確立する」という理念が示されております。われわれはこの理想を学会の活動の基礎とするだけでなく、絶えず参照し、そこから出発する不磨の至言でもあります。今回のシンポジウムも、「野球を人類不朽の文化とし、学問としての野球を確立する」という観点から眺めれば、単に「甲子園100年」を記念するだけのものではないことが分かります。すなわち、日本のスポーツを豊かに彩る野球の中でも、ひときわ人口に膾炙する場である「甲子園」のあり方を検討することで、人間の営み関わるあらゆる出来事としての文化の多様性と多層性がより鮮やかに描き出されることでしょう。

ところで、毎回の研究大会において表彰式を行っている学会賞は、今回で5回目を迎えることになりました。私どもは、従来の研究部門及び活動部門の顕彰に加え、新たに両部門に奨励賞を設けました。これは、野球文化研究の分野で顕著な功績を挙げた気鋭の皆様を顕彰することで、今後の研究活動のさらなる進展と野球文化研究の発展への寄与を願うものです。後ほどの表彰式において受賞者の皆様の発表がなされます。奨励賞を受賞された皆様を祝福するとともに、これからのさらなるご活躍をともに祈念していただければ幸いに存じます。

現在、日本のみならず世界の各地の学界で問題となっている事柄の一つが、学問分野の細分化に伴う研究の狭隘化です。もとより、ある対象の真の姿に迫ろうとする研究には、高度な専門的知識が必須であることは論を俟ちません。しかし、そのような研究は決して隣接する諸科学への興味や関心を排除するものではありません。むしろ、分野を横断した研究や、他分野の知見の応用は、ある対象の研究をより実り多いものとすることでしょう。その意味において、野球という一つの対象を様々な側面から研究する人たちが集う野球文化學會は、他の分野に開かれた学会であることを、改めて強調したいと思います。


最後に、今大会の開催に際して、第1部の一般研究報告で報告された会員の皆様の日頃からのたゆまぬ研究活動に敬意を表するとともに、第2部のシンポジウムの登壇者の皆様に改めて御礼申し上げます。そして、日々の学会運営や、研究大会の開催に献身的に取り組まれた吉田勝光副会長、武田主税副会長、並びに役員各位の尽力に改めて深甚なる謝意を表し、私からのあいさつといたします。

令和6年1月28日
野球文化學會会長 鈴村裕輔

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