野球文化學會2026年度総会における会長あいさつ

本日は、ご多用のところ、野球文化學會の2026年度総会にお集まりいただきまことにありがとうございます。
総会の開催にあたり、学会を代表して一言ご挨拶申し上げます。
詳細な事業報告は総会での審議の際に説明いたしますが、2025年度の学会活動の主な取り組みについて2点ほどご報告いたします。
まず、2026年1月25日に第9回研究大会を開催いたしました。第2部シンポジウムは「長嶋茂雄がくれたもの――野球時代の申し子の記憶と記録」と題し、昨年6月3日に逝去した長嶋茂雄氏が野球界の発展に寄与した足跡を回顧し、その事績が如何なるものであったかを検討いたしました。この試みの成果は、今年度刊行する予定の『ベースボーロジー』第20号に掲載されますので、ぜひご覧ください。
また、先般、学会誌『ベースボーロジー』第18・19合併号を刊行いたしました。今号も野球文化を多角的に検討する論考が掲載されています。これらの論考が、野球文化のさらなる発展の一翼を担うことが期待されるところです。
さて、これまでも折に触れて申し上げている通り、学会の創立者で初代代表幹事であり、昨年10月29日に逝去された諸岡達一氏は、学会の理念として「ベースボーロジー宣言」を提唱し、「野球を人類不朽の文化とし、学問としての野球を確立する」ことを提起されました。1999年の学会の設立に際して示された「ベースボーロジー宣言」は、今なお揺るがぬ意味を持つとともに、これからも学会の活動の基礎をなす理念として、より重要な位置を占めることになるでしょう。
ところで、皆様もご承知の通り、今年は1936(昭和11)年に日本職業野球連盟が発足し、現在のプロ野球に連なる歩みが始まってから90年が経ちました。もちろん1920(大正9)年には日本最初の職業野球団である日本運動協会が結成されています。そのため、日本における職業野球の歴史は100年を超える歳月を経ております。
しかし、日本運動協会が後身である宝塚運動協会を含めても9年で活動を終え、日本職業野球連盟が名称や組織の形態を変えながらも現在に至っていることは、われわれに様々な示唆を与えます。
その一つが、前者が他の職業野球団を持たなかったのに対し、後者が7球団で始まったことです。すなわち、たとえ試合においては勝敗を争うことなるとしても、ともに手を携えてゆく同志が存在することが、職業野球そのものを活性化したことを推察させるのです。
翻って野球文化學會を考えるなら、日本職業野球連盟が結成された際の7球団は一人ひとりの会員そのものであります。各球団が切磋琢磨することで職業野球が発展したように、野球文化學會も会員の皆様が学会活動に真摯に取り組み、積極的に参画することが学会の発展の大きな原動力となります。
残念ながら日本運動協会は芝浦球場という本拠地がありながらも対戦相手を見つけるべく日本各地、さらには外地まで遠征を行おわざるを得ませんでした。しかしながら、われわれは学会を拠点とし、ここに野球文化の発展を期す皆さんが集います。どうぞこれからも、これまで以上に学会の活動に参画され、野球文化の一層の成長を実現させる場として学会をご活用ください。
最後に、本日の総会の開催に際して、公私ともご多用のところ、第2部のトークショーへの登壇を快諾された堀内恒夫氏に御礼申し上げます。日々の学会運営や、研究大会の開催に献身的に取り組まれた武田主税副会長および吉田勝光副会長、総会の開催に際し諸事の手配を担当された筆谷敏正理事ならびに役員各位の尽力に改めて深甚なる謝意を表します。
そして、今後も皆様が野球文化のさらなる発展に向け、野球文化學會を活動の場として大いに活用されることを願い、私からのあいさつといたします。
令和8年6月21日
野球文化學會会長 鈴村裕輔
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